⚫︎けがをしたらどうしますか?

 あなたは傷をしたら、どうやって治しますか?

大きい傷の場合は病院にかかられると思いますが、それほどでもない場合はどうしますか?

 いままでの常識では「けがをしたら、1消毒して、2ガーゼで覆って、そのうちにかさぶたになって治る。そして3傷は濡らしてはいけない」でした。

 ところが研究の結果、この常識は間違っていることがわかりました。

[問題]

 上の3つのうち、どれが間違っていると思いますか。

 

 


実は3つも間違いです。正しい治療方法は?

1. 傷には消毒をしない。

2. 傷は水道水で洗う。

3. 傷は乾かさないように被覆材で覆う。

というものです。

 

<1 なぜ消毒をしてはいけないのでしょうか?>

 傷の表面には、侵入してきたばい菌に対抗して白血球やマクロファージという細胞が

 出てきて、ばい菌と戦います。ところが、これらの細胞は消毒薬にとても弱いのです。

 さらに、傷を治すために線維芽細胞や上皮細胞という細胞たちが皮膚の組織を再生

 していますが、これらの細胞も消毒薬に弱いのです。

 消毒薬はむしろ治癒を邪魔しているわけです。

 

<2 水道水で洗う。>

 傷についている汚れや破壊された皮膚の組織、さらに、傷についたばい菌を取り除く

 ために水で洗うのは基本です。

 水道水で大丈夫?と思われるかもしれませんが、日本の水道水は、きちんと消毒されて

 いますので問題はありません。

 

<3 傷は乾燥させない>

 傷を治すためには、先ほど述べた、白血球、線維芽細胞、上皮細胞といった細胞たちが

 必要です。これらの細胞は乾燥に弱くて、湿った環境の中で活動します。

 ですから適度に湿った状態がいいのです。

 具体的には「キズパワーパッド」という被覆材で覆います。

 台所用品の食品用ラップ(サランラップなど)も使われることがあります。

 

 

医学の常識といわれるものは、意外に間違っていることも多いです。実際に「実験」してみたら間違っていた、ということもしばしばあります。やはり何ごとも「実験」!ですね。

<参考文献>

  水原章浩:「自分で行うとっさの傷の手当て」、金原出版、2005年