⚫︎スマートウォッチ

突然ですが,スマートウオッチって知っていますか?

 

 スマートウオッチは腕時計 歩数計 心拍計 睡眠モニター 着信通知といった機能をもった 時計?です。 

 心拍数(脈拍)は昔から手首に人差し指、中指を当ててドクン ドクンと血液の流れ(脈拍)を数えるものです。(1分間の脈拍の 回数) 

 

[問題1]

  では,このスマートウオッチの心拍 計ってどうやって脈拍を調べているのでしょうか?

ア. 音を調べている
イ. 血管の動きを調べている
ウ. 血管の中の血液の流れを調べている。

                   (家庭で使われている電子血圧計については資料2) 


もし,あれば見せてもらいましょう! 手首に接する部分が緑色に光ることは知っている方もあるかもしれません。でも,なぜ光なのか,それが緑色なのかがわかれば,見方が変わってくるかもしれません。 

 手首に接する部分の光は、光学式心拍センサー(下図)によるものです。LEDやフォトダイオードなどの光を手首の血管に照射 し(光は皮膚表面から透過)、血液中の赤血球の中にあるヘモグロビンの動きで心拍数を測定します。正解はウ.です。  動作原理は「ヘモグロビンは青や緑の光を吸収し赤い光を反射するから赤い」というシンプルなものですが、脈動のたびに光の吸収量が変化するため、緑色の光を当てて変化を測定すれば心拍数がわかるというわけです。(詳しくは資料1) 

 

 そういえば,新型コロナウイルスのことで,パルスオキシメー ターが大きく取り上げられています。パ ルスオキシメーターって知っています

か? (パルスとは、短時間に急峻な変 化をする信号の総称をいう)

 

[問題2]

 パルスオキシメーターはそもそもなにをしているのでしょうか?

ア. パルスというので,脈拍を測っている

イ. 血液中に含まれている酸素の量を測る

ウ. オキシクリーンのことで,指をきれいにする

 

正解はイ.です。 

「血中酸素飽和度」って聞いたことありますか。運動選手の体 調管理する上で毎朝のコンディションチェックは欠かせないもの ですが、この血中酸素飽和度も必ず測定している数値の一つです。 体温や体重、脈拍などと比べ馴染みのない言葉ですが、意外と簡 単に測定できてコンディションチェックにもとても役立つ数値なのです。 

 

 血中酸素飽和度とは血液中の酸素の量の事でSpO2と呼ばれています。値は%で表し、血液中の酸素の濃度が満タンだと100%、 正常値で99~96%と言われています。体に疾患があったり体調 不良などを起こしていると数値が低下することがあり、医療機関 では入院中の患者の体調管理や、手術中の容体の変化を監視するためにも使われている、体調を評価する上で非常に重要な数値な のです。 

さて,血中酸素飽和度を測るということなのですが,その原理 はどうなっているのでしょうか? ある人は,もちろん赤血球の量を測っているんだろう言いました。先ほど、心拍数を測るのに赤血球の中にあるヘモグロビンの動きを見ると言っていたではな いか?というのです。 

 みなさんはどう思いますか。

 

[問題3]

  では,パルスオキシメーターはどうやって血中酸素飽和度を測っている(血液中の酸素の濃度が満タンかどうか)のでしょうか?

ア. やはり,赤血球の量を測っている
イ. ヘモグロビンの動きを調べている
ウ. ヘモグロビンの色で調べている(赤いかどうか) 

 

 血液は一見赤い液体のように見えますが、赤血球のため、肉眼では赤く見えるのです。この赤血球の赤色も赤血球の中のヘモグ ロビンという色素の色で、ヘモグロビンは酸素と結びつくと鮮や かな赤色になります。 

パルスオキシメーターはこの赤色の度合いを見て、酸素飽和度 (酸素に結びついたヘモグロビン)を測っています。 正解はウ.です。

 その動作動作原理は次の通りです。パルスオキシメーターはこの赤色の度合いを見て,ヘモグロビンが酸素をいっぱい運んでいるかどうかを判断しているのです。(左の指のほう が鮮やかな赤色なので、センサーが受けとる赤色光(R)は多くな ります。この赤色光(R)と赤外光(IR)の比率の違いで酸素飽和 度がわかるようになっています。) 

(詳しくは資料2) 

本当にセンサーっていろいろあって面白いです。スマホにも GPS,ジャイロスコープ,磁気センサー,指紋センサー,顔認証 システム,近接センサーやら加速度センサーなどいっぱい。どんなしくみなのでしょうか? 興味はつきません。 

 


*** 資料1 ***

 誤差を排除するために、複数のLEDの波長を使用する、モーションセンサーから取得した情報を参考にするといった工夫もなされています。スポーツなどで激しく体を動かしても測定結果に大きな誤差が生じないのは、これが理由です。 

 光学式以外の心拍センサーに対応するスマートウォッチも存在します。た とえば、シリーズ4以降のApple Watchに搭載されている「電気心拍センサ ー」は、デジタルクラウンと背面のクリスタル部分にある電極を使い、指を デジタルクラウンに軽く載せるだけで心拍数を測定できます。光学式心拍セ ンサーでの測定は約5秒間隔ですが、Apple Watchの電気心拍センサーは1 秒間隔ですから、循環器系疾患の早期発見につながる兆候を発見できるほど 高精度な測定が可能になります。 (「スマートウォッチ、どうやって心拍測定をしている? 仕組みを解説」より) https://www.phileweb.com/review/column/202105/18/1285.ht ml 

 

*** 資料2 *** 

 血液は一見赤い液体のように見えますが、液体成分の血漿は薄黄色で、血漿 の中に無数の赤色の細胞(赤血球)が浮かんでいるため、肉眼では赤く見え るのです。この赤血球の赤色も赤血球の中のヘモグロビンという色素の色で、 ヘモグロビンは酸素と結びつくと鮮やかな赤色になります。 パルスオキシメーターは動脈血の赤色の度合いを見て、酸素飽和度(酸素に 結びついたヘモグロビンの比率)を見ています。 

 

 

*** 資料3 *** 

電子血圧計で血圧を測ろう!(AD Discover Precision の HP より) 

 血圧を測定する際には、血圧を測ってもらう人の上腕(二の腕)にゴムの 袋の入ったカフ(腕帯、駆血帯)を巻きます。この時、カフが小さ過ぎた り、カフを巻く位置が心臓よりも低かったりすると実際の血圧よりも高く なってしまうので注意が必要です。 

 電子血圧計の場合、上腕に巻いたカフは測定を開始すると同時に自動的に 膨らみます。この膨らみによって、上腕の血液の流れが一時的に止められ ます。その後、カフの空気をゆっくりと抜いていき、血液が流れはじめる まで圧力を下げていきます。 

 ゆっくりとカフの空気を抜いていくと、小さな心拍(脈動現象)を確認す ることができます。この脈動はカフが緩くなっていくにつれて大きくな り、最も大きな振幅になった後、再び小さくなります。この山形の振幅波 形情報と聴心法の結果を統計的に処理した独自のアルゴリズムで解析す ることで、血圧を算出しています。 

nこの解析方法は「オシロメトリック方式」と呼ばれ、今では殆どの電子血 圧計に採用されています。エー・アンド・デイは、家庭用電子血圧計に於い て世界で最初にオシロメトリック法を採用し、世界初のオシロメトリック 式電子血圧計の製品化に成功しています。 

https://www.aandd.co.jp/products/hhc/blood_pressure05.html 

 

 血圧計は、血圧だけでなく「脈拍数」も測定することが出来 

ます。血圧の測定原理に関係する「コロトコフ音」や「オシロメトリック法における振動」は、どちらも心臓の拍動に合わせ て現れるもので、心拍数は心臓の拍動数、脈拍数はそれを脈として触れた数なので、脈拍数も測定することが出来るのです。 最近の家庭用血圧計のほとんどは、脈拍数も同時に結果として 表示してくれますので、脈拍数を知りたい場合、自分で脈を押さえて数える必要はありません。

 

パルスオキシメーターは赤い色を見ています。

 酸素と結びついたヘモグロビンは赤い色をしていますが、これは赤い色だけをあまり吸収せずに通してしまうからです。つまり、赤い色の吸光度が低いのです。一方、酸素を離したヘモグロビンは黒っぽい色になります。これは光をよく吸収するからです。赤色(R)を血液に当てると、ヘモグロビンと 酸素がより多く結びついていると、それだ け多くの光が指を通り抜け、センサーが受 け取る光の量が多くなります。赤外光(IR) はヘモグロビンと酸素が結びついていてもいなくてもどちらも、あまり変わらず血液を通り抜けます。

 HbO2が増えHbが減れば、センサーが受け取る赤色光(R)は多くなり、赤外光(IR) はあまり変わりません。その逆では赤色光は少なくなり、赤外光はやはりあまり変わりません。 つまり、センサーが受け取るR/IRの比率が分かれば、HbO2とHbの比率、即ち酸素飽和度が分かる事になります。 パルスオキシメーターは動脈血の変動を見ています。 生体に照射された光は、血液以外の組織層、動脈層、静脈層を通るなか、各 層で吸収を受けセンサーに届きます。 心臓から拍出された動脈血は、脈波と呼ばれるように波のような形で血管内を移動します。 極く短い時間の中で、厚みが変化するのは脈動をしている動脈血だけです。 皮膚や肉などの組織や静脈は、極く短時間では厚みは一定です。厚みが変わ ると透過する光の量も変わり、センサーの受け取る信号も変化します。 つまり、信号の変化成分は厚みの変わった組織だけの成分、すなわち動脈血だけの情報となります。 脈動(変化成分)を見ることで、動脈血だけの成分を見ることができ、R、IR の変化成分の比率から動脈血だけの酸素飽和度が求められます。 パルスオキシメーターは脈拍数も表示しますが、それは、このように変動を 見ることで、脈拍も同時に求められるからです。 R/IRの比率から校正定数によって%SpO2を求めます。 

 赤色光(R)と赤外光(IR)の透過光量の変動成分の比率とSpO2値の関係は、 使用されるR、IRのLED波長によって異なり、両者の関係式を校正定数と呼びます。 校正定数は、パルスオキシメーターと、同時に採血して得られたSaO2値との相関を、実験で求めることによって決定されます。 右図では、RとIRの比率が同じ場合にはSpO2は83%、RがIRの0.4の時に SpO2が 100%となるような校正定数を持つパルスオキシメーターを例示しています。 

KONICA MINOLTAのHPより(パルスオキシメーターの原理) https://www.konicaminolta.jp/healthcare/knowledge/details/princi ple.html  

 の図は、酸素と結びついたヘモグロビン(HbO2)と、酸素を離したヘモグロビン(Hb)において、どの光を多く吸収するかを示した吸光度曲線と呼ばれるものです。色は横軸の波長で表わされます。 2本のグラフはHbO2とHbがどの波長をよく吸収し、どの波長をあまり吸収 しないかを表わしています。線が下に行くほど、その波長を吸収しない(良く通す)ことを意味します。

 酸素と結びついたヘモグロビンは赤い色をしていますが、これは赤い色だけをあまり吸収せずに通してしまうからです。つまり、赤い色の吸光度が低いのです。一方、酸素を離したヘモグロビンは黒っぽい色になります。これは光をよく吸収するからです。赤色(R)を血液に当てると、ヘモグロビンと酸素がより多く結びついていると、それだけ多くの光が指を通りぬけ、センサーが受け取る光の量が多くなります。赤外光(IR)はヘモグロビンと酸素が結びついていてもいなくてもどちらも、あまり変わらず血液を通り抜けます。

 HbO2が増えHbが減れば、センサーが受け取る赤色光(R)は多くなり、赤外光(IR)はあまり変わりません。その逆では赤色光は少なくなり、赤外光はやはりあまり変わりません。

つまり、センサーが受け取るR/IRの比率が分かれば、HbO2とHbの比率、即ち酸素飽和度が分かる事になります。

 パルスオキシメーターは動脈血の変動を見ています。

 生体に照射された光は、血液以外の組織層、動脈層、静脈層を通るなか、各層で吸収を受けセンサーに届きます。心臓から拍出された動脈血は、脈波と呼ばれるように波のような形で血管内を移動します。

極く短い時間の中で、厚みが変化するのは脈動をしている動脈血だけです。皮膚や肉などの組織や静脈は、極く短時間では厚みは一定です。厚みが変わると透過する光の量も変わり、センサーの受け取る信号も変化します。つまり、信号の変化成分は厚みの変わった組織だけの成分、すなわち動脈血だけの情報となります。脈動(変化成分)を見ることで、動脈血だけの成分を見るこができ、R、IRの変化成分の比率から動脈血だけの酸素飽和度が求められます。パルスオキシメーターは脈拍数も表示しますが、それは、このように変動を見ることで、脈拍も同時に求められるからです。

R/IRの比率から校正定数によって %SpO2を求めます。