(診察をしていて、よく聞かれる質問があります。それをまとめてみました)

⚫︎診察室から 5 「紫外線と皮膚  ーほどほどにー」

 紫外線は皮膚や体に対していろいろな作用をします。 日本皮膚科学会のホームページ

「皮膚科 Q&A 日焼け」には次のような内容が示されています。 

 

 紫外線は身体にとって良い面と悪い面を持っています。

良い面としてはビタミン D の生合成があります。 しかし、あえて日光をあびなくても、日常生活であびてしまう程度の紫外線で十分だといわれています。 

 一方、悪い面に関してはたくさんあります。 まず大量に浴びれば日焼けを起こします。ひどい場合には脱水症状を起こすこともありま す。 また長期間にわたって浴び続ければ、光老化が起こります。これはシミ、しわとなって現 れます。さらに皮膚ガンの発生にもつながります。 また光線過敏症という病気もあります。これは普通の人では問題ない程度の紫外線でも 皮膚にいろいろな症状が出てしまうものです。 最近では,紫外線が皮膚の免疫反応を抑えてしまうことも分かってきました。

                       https://www.dermatol.or.jp(2022.04.25.閲覧) 

<なぜ紫外線でガンができるのか?>

 紫外線は細胞の DNA に傷をつけます。この傷がうまく修復できないと遺伝子が 変異を起こします。その結果、細胞が増殖してガンができます。 ちなみに、紫外線以外でも、放射線、ヒ素、慢性的な刺激でもガンができます。 

 

<なぜしわができるのか?>

 人の真皮(表皮の下にあり、血管が走っています。)には弾力繊維というものがあります。 これは皮膚の張りを保つものです。 紫外線によって、この弾性繊維が破壊されることにより皮膚がたるんできて深いシワができます。 ちなみに、紫外線と関係のない「加齢による老化」では皮膚がうすくなり、シワはできますが、深いシワはできません。

 

<紫外線とビタミン D について>

 ビタミン D は骨の成長に欠かせない大事なビタミンです。

 ビタミン D が不足すると、くる病(骨の成長が障害されて歩行が困難になる病気) になります。

 

「病気の解説:くる病」(小児内分泌学会のホームページ)

 最近、くる病にかかるお子さんが増えています。ビタミン D は食事から摂取するものと、紫外線にあたることにより皮膚で合成するも のとがあります。最近の生活では、そのどちらも不足しやすくなる傾向にあるようです。 紫外線対策をしすぎた時や冬の時期はビタミン D が不足しやすいです。  

                                                                   http://jspe.umin.jp (2022.04.26閲覧)

 

 以前は母子手帳に「日光浴をさせましょう。」という記載がありました。 しかし、最近では、紫外線による皮膚などへの悪影響を考慮して母子手帳の記載も 「外気浴をしましょう」という表現に変わりました。 さらにコロナ禍のため外出を控えたこともくる病の増加につながったと考えられます。 何事も「ほどほど」が大事だと感じました。