最近のテレビや雑誌のCMでよく見かける「グルコサミン」や「コンドロイチン」などが配合されたサプリメントは,膝の痛みに本当に効くのでしょうか?
この問題については、いろいろな研究があります。
リペアセルクリニック東京院のホームページ
「グルコサミンやコンドロイチンは膝の痛みや関節に効くのか?」
(2021.10.06)(https://fuelcells.org)
には次のような内容が記されています。
グルコサミンやコンドロイチンが痛みを軽減したという証拠は、ほとんどありませんでした。
これらのサプリメントは口から摂取して消化管から吸収されます。
このときに,分解されてしまうため、直接軟骨になることは考えにくいからです。
また「ヒアルロン酸」や「コラーゲン」については日本整形外科学会のホームページ「一般の方へ、よくある質問」の中で次のような内容が示されています。
(http://www.joa.or.jp 2022.04.27閲覧)
「ヒアルロンは関節内投与(注射)については、科学的根拠があり、有効性が確認されています。
しかし経口摂取の有効性については、少し痛みが軽減したというデータはあるものの例えばレントゲン
検査などで改善したというようなデータではありません。」
さらに日本整形外科学会では次のような見解を述べています。
一般にサプリメントとして販売されているものは、科学的データとして有効性が認められていないため
保険では認められていません。しかし、全く効かないというデータもないのです。あるいは個人差があ
るということも可能性としてはありうると思います。
従って日整会では「これは無効であるから飲むな」と言うことを公式に述べることはできないのです。
私個人の見解ですが、もしもこれらのサプリメントが、膝の痛みを減らす効果があったとしても,もっと「安い」方法で痛みを減らすことが可能ではないかということです。
私の身内の者が膝の痛みのため歩くことや階段の昇り降りが困難であったのが、足におもりをつけて座った状態で,足を上げ下げするという運動を毎日行っていたら、痛みが全くなくなりました。もちろん「自然治癒」かもしれませんが、サプリメントを飲んで治ったという人でも、仮にサプリメントを飲まなくても、この足上げ運動を行うだけで治ったかもしれないと思います。そうならば「高い」サプリメントよりも,ずっと「安く」治すことができると思います。さらに、この運動は太ももの筋肉を鍛えることができるため膝の痛みの「予防」にもなると思います。
<付記>
膝の痛みというと、どうしても膝の関節に目がいきます。もちろん関節そのものは非常に大事なのですが、もうひとつ大事なのが膝のまわりの筋肉なのです。
筋肉が関節を支えています。筋力が落ちると膝関節への負担が大きくなり、痛みが増します。そして関節がダメージを受けます。筋肉を鍛えることにより膝への負担が減り、痛みが減少します。(椎間板ヘルニアも同様で周りの筋肉を鍛えることが重要です。)
このように、目に見える「現象」にとらわれず、その奥にある「本態」を考えることは、医学に限らずとても大事なことだと思います。
[一言感想:井藤]
私は「骨粗鬆症」「高血圧」などが悩みです。それでサプリをいくつか飲んでいます。「カルシウム」「コンドロイチン」「コラーゲン」「ルテイン」など。気休めでもいいかなと思って。
この話を読んで思ったのは、大切なのは本態(本質)。たとえば運動不足を重ねていて「カルシウムサプリ」を飲んでもしようがないでしょう。生活習慣をどのように改善していけるかが70才代以降を健康で過ごせるかどうかの分かれ目のような気がしています。