●光免疫療法 〜紫外線の功罪〜

                     2022.07.12 猪塚憲機

 紫外線は免疫機能を抑制する働きがあります。これを「光免疫抑制」といいます。例えば、紫外線に当たった部位は「カブレ」が起きにくくなるという現象です。

 一方、「光免疫抑制」は皮膚がんの発生にも関係しています。紫外線には「発がん作用」があります。皮膚にがんが発生した時、そこに紫外線が当たっていると、がん細胞を異物とみなせずに、免疫反応で排除できなくなります。その結果、がん細胞の増殖を許してしまいます。

 このように紫外線は「皮膚がんの発生」+「がんの増殖を許す」という2つのマイナス作用をします。 

 しかし、「光免疫抑制」にはプラスの効果もあります。それは「光線療法」といって「乾せん」とか「アトピー性皮膚炎」などの皮膚病に紫外線照射を行い皮膚の免疫反応を抑制し皮膚病の治療を行います。さらに「PUVA療法」という治療法もあります。これはオレンジジュースのところで出てきた「ソラレン(psoralen)」という薬剤を皮膚に塗って、そのあとでUVAを照射し皮膚病の治療をします。「P+UVA」で「PUVA療法」と呼んでいます。