⚫︎軽石の重さと浮き沈み(再掲)

 軽石は普通、噴火によってマグマの水蒸気や二酸化炭素ガスなどが抜けて穴の多い石になっています。固まった軽石の多くは穴ができてそこに空気が入り水に浮くことが多いようです。でも、しばらくすると空気は抜けてやがて沈んでいきます。

 それでは、なぜ沖縄沖の軽石はずっと海水に浮いているのでしょうか。一つ考えられるのは、沖縄沖の軽石は海底噴火なので急冷し、一部の鉱物はガラス状になりガスが中に閉じ込められたままになっているのだと考えられます。                   軽石顕微鏡写真(林秀明)

⚫︎続・軽石 2022.6.4

 先に(再掲)、沖縄沖の軽石について「海底噴火なので急冷し、一部の鉱物はガラス状になりガスや水蒸気が中に閉じ込められたままになっているのではないでしょうか」と書きました。それを読んだ北海道の林秀明さんからこんな手紙が届きました。「ガラス質になるのは,〈水中で急冷された〉というのは,そうかも知れませんが,空中でもガラス質になることもあるかも知れないと思っています。黒曜石は水中とは関係ないで出来るのではないでしょうか?白滝の大きな黒曜石の露頭を見てきましたが,あんな大きなモノが急冷するには,やはり水をかぶるなどということがあったのでしょうか?」

 

【質問1】この林さんの疑問についてあなたはどう思いますか。

 

「ガラス質黒曜石」

 「そうか、ガラス質の岩石には黒曜石があるな。白滝の黒曜石は陸上生成物だし海水による急冷でもないな」とわたしも疑問に思いました。そこで、白滝黒曜石について書かれた論文を読んでみました。そこには、次の様に書かれているではありませんか。

 「無斑晶質流紋岩マグマ(どろどろに溶けた花崗岩質マグマ)がカルデラ内で活動し、黒曜石破片を含む火砕物を湖成堆積物として厚く堆積させた。湖水との接触によって溶岩の多くは自破砕した。」(和田恵治他「北海道,白滝ジオパークの黒曜石溶岩の内部構造」)つまり、白滝黒曜石もカルデラ内の水によって急冷されたと見ることができます。マグマがガラス化するのはおおむね水による急冷現象と見てよさそうです。それでは、軽石というのはいったい何でしょう。

 地学事典によると「火山破屑物の一種で,多孔質で見かけ密度が小さく淡色を呈するもの」とあるので、淡色の穴の開いた噴出物と言っていいでしょう。淡色と言っているので、性質としては花崗岩質、安山岩質です。桜島、浅間山などで出ています。なお、黒っぽいのはスコリアと呼ばれています。こちらは玄武岩質です。三宅島や富士山に出ています。

 沖縄沖に流れ着いたのは太平洋上の火山から出た軽石ですが、黒っぽいのは重いので海底に沈んだのでしょう。流れついたのは淡色ばかりです。                              スコリア

 

【質問2】

 軽石は火山噴出物の一つです。火山噴出物にはほかにどんなものがあるでしょうか。