⚫︎「恐怖」のガン検診

 最近では健康ブームで検診の機会が多くなっています。

[質問1]

 あなたはガン検診を受けたことがありますか。

ア.  ある。

イ.  ない。

[質問2]

 もしガン検診で「陽性」だったら、あなたはどうしますか。

ア.  落ち込む。

イ.  落ち込まないで、何かする。

 

 ある人は、前立腺ガン検査を受けて「陽性」でした。落ち込んで、数日間過ごしました。

ふと「本当に私はガンなのか」と思いました。検査は間違いな(誤診)かもしれません。

 


[問題]

あなたは、ガン検査法をしました。

 

検査結果は陽性でした。このときあなたがガンに侵されている確率はどのくらいでしょうか?

 

予想

 ア. 90%(ほぼガンにまちがいない)

 イ. 50%(ガンかどうかは、五分五分)

 ウ. 25%(ガンの可能性は、4つに1つ)

 エ.10%以下(ガンは10に1つか、それ以下)

 

 


⚫︎検査には「精度」がつきもの

検査には誤診がつきものです。一般的にガン検査の精度はだいたい次の通りです。

 (1) ガンの人は99%の確率でガン陽性と診断されます。

 (2) 健康な人がガン陽性と誤診される確率が2%です。

      (3)また、本当にガンにかかっている人の割合(その年齢の罹患率)は0.1%です。

                つまり1000人に1人、ガン患者がいるということです。

 

[あなたには4つの場合が考えられる]

 この問題を最初見たときは50%くらいかなあと思いましたが、実際に計算してみると(は)

     約5%

 となります。この事実を知らないと精密検査までの精神的苦痛は大きいものになります。

ただこの事実をあまり広めてしまうと、精密検査を受ける人が少なくなるかも知れないというデメリットがあるようです。

また少し違った話ですが文末の文献には「四六時中津波警報を出しておくと予報的中率は100%であるが、情報としての価値はゼロです。

的中率が100%でないと過大な責任を問われる風潮が強まると、誤りではないが、無意味な情報が多く出回ることになると思われます。」という記述があります。(一部改変して引用しました。)

私は医師ですが、医薬品の添付文書にもその傾向を感じます。ありとあらゆる注意が書いてあり、忠実にそれを守ると処方する薬がなくなりそうです。

 

⚫︎確率を計算してみよう

  100万人いたとします。

 (A)とCが検査で陽性の人

その人数は

A=100万×(1-0.001) 

       ×0.02=19980

C=10O万×0.001×0.99=990

求める確率は

P=A÷(A+C)

=990÷(19980+990)=0.0472

 ですので約5%となります。


 (ちなみにガンの罹患率が1%の場合には約33%となります。ガンが1%もあるような場合でも、2/3は「誤診」なのです。)

 

⚫︎検査結果に落ち込まないで

 このように稀な病気の場合は、検出率が99%で偽陽性率が2%というかなり正確な検査でも、精密検査での発見率はかなり低いものとなります。

 検査結果に落ち込むことより、さらに精密検査を受けることが何よりも大切です。