病気の診断のための検査は病気があれば100%陽性、なければ100%陰性となるような検査が理想ですが、現実の検査ではそのような検査はほとんどなく、病気があっても陰性になったり、病気がなくても陽性になったりすることがあります。
病気がある群での検査の陽性率を「感度」、病気がない群での検査の陰性率を「特異度」と呼びます。
<問題1>
20xx年ifuji博士は100%の「感度」を持つ検査法を開発しました。
いったいどういう検査法でしょうか?
<問題2>
20xx年nonki博士は100%の特異度を持つ検査法を開発しました。
いったいどういう検査法でしょうか?
<解答>
1. その検査法とは「すべての検体を陽性と判定する検査法」です。
こうすれば病気にかかっている人100%が陽性になります。
2.その検査法とは「すべての検体を陰性と判定する検査法」です。
こうすれば病気にかかってない人100%が陰性になります。
いかがでしたでしょうか?
とても「インチキ」くさい答えですいません。
でも例えば「感度」を上げようと思えば陽性と判定する範囲をすごく「甘く」すれば「感度」は上げることができることが理解できると思います。
もちろんこのような検査は、まったく意味のないものになります。
少し違う話ですが、「あなたは200年以内に必ず死にます」という予言は的中率は(たぶん)100%なります。しかしこのような情報はまったく意味をもちません。
的中率が100%の情報ばかりを重んじ、予想が外れると強く非難するという風潮が強まると、こういう「意味のない」情報が出回ります。
今は、このような傾向に世の中が進んでいるような気がします。医療の世界でも例えば、医薬品の添付文書を見るとありとあらゆる注意書きが書いてあります。それを忠実に守ろうとすると、実際に
処方できる薬はものすごく制限されてしまいます。
PCR検査は、「感度は70%程度、特異度は99.9%程度」です。
日医総研副所長, 原祐一 ⏩「万能とは言えないCOVID-19検査」『日本医師会のニュースポータルサイト』2022.3.30閲覧
そのサイトはさらに次のように書いています。
例えば、感染者が最も多かった本年8月中旬での東京の潜在的な感染率は0・9%と推計されたため、PCRの感度が70%、特異度は99・9%とすると、PCR陽性者のうち約13・6%は偽陽性、PCR陰性者のうち約0・27%は偽陰性と言うことになります。真の感染者数が少ない場合は偽陽性率はこれよりも高い数字となります。
そして次の言葉で最後を締めくくっています。
今後、第6波、第7波が来るかも知れないため、政府は無症状者にもPCRや抗原検査を進めようとしています。症状がある人や濃厚接触者への検査が必要なことは言うまでもありませんが、多人数の無症状者への検査は既述のような欠点もあることを理解した上で実施する必要があります。