あなたは何才まで生きられると思いますか。
私は、もうすぐ70才です。老後の資金のことが気になります。今、お金を使うべきか。貯金すべきか。
ネットは「老後の資金いくら必要か」というサイトであふれています。「いくら必要か」と言われても、何才まで生きられるかがわからなければ考えようがありません。
「温故知新」統計を見てみることにします。一般的に「いくつまで生きられるか」を知ることが何をするにも第一歩だと思います。下のグラフを見てください。
これは、厚生労働省が出した「平成30(2018)年簡易生命表」から作成したものです(101才以上はすべて「100才」としてグラフ化しました)。
右が「生命表」の一部です。「生存数」というのは、10万人が生まれて、そのうち何人生存しているかを表しています。50才では9万6923人で、237人が死んだことになります。この数字は、各年齢の「死亡率」を順にかけて算出したものです。
上のグラフを見ると、ピーク男女平均は91才(男性89才、女性93才) です。70才の私は、統計的に見ると、あと21年生きられるのでしょうか。
[問題1]
男女平均で、死亡のピークは91才です。では、平均寿命は何才でしょう(男女平均)。
ア. 91才
イ. 88才
ウ. 85才
エ. 83才以下
平均寿命は、上の黄色の部分の「平均」です。
EXCELで計算してみると、男女平均の寿命は85(84.7)才 (男→81.6才、女→87.7才)
私(70才)の人生はあと14年でしょうか。
ただこれは、0才で死んだ人も入れた平均です。70才の私から見ると「現実的」ではありません。
[問題2]
70才の平均余命(男女平均値)は、何才でしょう。
ア. 91才
イ. 85才
ウ. 88才
エ. その他
70才の「平均余命」を求めます。右のグラフのピンクの数値の平均です。
70才の人は男女平均値で「89才まで(余命19年)」、男「86才まで(余命16年)」女「91才まで(余命21年)」です。
[問題3]
同学年が100人いたとします。あなたは、そのうち50番目に死ぬとします。それは何才でしょう(男女平均値)。
ア. 84才
イ. 84才より多い
ウ. 84才より少ない
右のグラフで「50番目」は?
男女平均値88才(男85才、女90才)です。平均寿命「85才(84.0才)」よりだいぶ多くなります。
[問題3]
「1割の人しか乗り越えられない年齢」という数値もあります。「同学年の人10人がいたとき、9人が死んで一人だけ生き残る年齢」です。それなら「長生き」と言えるでしょう。それは何才でしょう(男女の平均値)。
ア. 90才
イ. 95才
ウ. 100才
右のグラフでたて軸が10のところを見てください。男女平均値→97才(男→95才、女→99才)
もし私(70才)が「長生き」と言われるには97才まで(あと27年)生きないといけません。
データを代表する数値にはいろいろあります。よく使われるのが「平均値」「中央値」「最頻値」です。
(1)「平均値」は「データの値」の平均の値。
生命表では「平均寿命」。
(2)「中央値」はデータの数値を小さいほうから順に並べたときに「ちょうど真ん中にくる数値」。
「寿命中位数」。
(3)「最頻値」は「死亡数」の最頻値。
「一番死亡数の多い年齢」
いろいろな数字が出てきましたが、あなたはどの数字を信じますか。
もう一つ、健康寿命は「男72才、女75才(男女平均73.5才)」という数字もあります(2016年)。その数字は「健康上の問題で日常生活が制
限されることなく生活できる期間」です。それは、アンケートで「あなたは現在、健康上の問題で日常生活に何か影響がありますか」と聞いて出したものです。
多くの人が死ぬ前の数年間、寝たきり、車いすなど不自由な生活をしていることも現実のようです。
「ピンピンコロリ」という言葉があるように、自分の命を最後まで健康で全うしたいものです。
「何才まで生きられるか」はわかりません。ではどうしたらいいのでしょう。
もし自動車だったら「10年で買い替える」ことができます。人間の体はそういうわけにはいきません。
自動車だったら、長く乗るにはどうしたらいいでしょう。
(1)無理な運転はしない。ていねいに車を使う。
(2)点検を怠らない。
(3)ときどき動かす。止めたまま放っておかない。
人間でも同じです。
(1)暴飲暴食はしない。ていねいに自分の体を使う。
(2)点検を怠らない。
(3)ときどき体を動かす。運動する。
人間の寿命の限界は何才でしょう。
「115才くらいかもしれない」と、アメリカの研究者が『ネイチャー』に発表したと、BBCニュースのサイトには書かれています。⏩
それが「人間」という種の「本来の寿命」かもしれません。
健康で元気に楽しく生きられるように、お互いに励まし合っていけるといいです。
「2021年に亡くなった芸能人・有名人」というサイトがあります。そこには、男性129人、女性41人の名前が載っています。
[問題]
2021年に亡くなった芸能人・有名人170人は、長生きだったでしょうか。短命だったでしょうか。「最頻値(一番死亡数の多い年齢)」 で、一般人と比べます(一般人の最頻値91才)。
ア. 芸能人・有名人の方が長生き
イ. 芸能人・有名人の方が短命
ウ. 同じくらい
芸能人・有名人の死亡年齢がいちばん多いのは
84才です。
「芸能人・有名人は短命」と言っていいのでしょうか。おいしいものの食べ過ぎに注意したいです。
ここまでの話を読んでくれた友人の荒木さん(東京)は次のような感想をくれました。
「私の周りでは、90才以上の人はあまりいない。本当に我々は90才以上生きられるのだろうか」
上述の「死者の最頻値」は正しいのでしょうか
男女計91才 男89才 女93才
確かに「2015年の年齢階層別死者数」をグラフにしてみると
最頻値は、男80-84才 女85-89才
かなりずれています。どういうことでしょう。
実は「人数」でグラフを描くと誤解を与えるのです。各年齢ごとの人数が違うので、80才から85才くらいの死者数が多いのは当たり前なのです。
死亡率でグラフを描き直せば、上で書いたように
「死者の最頻値」は
男女計91才 男89才 女93才
になりました。
統計を見るときは注意が必要なようです。