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OA(オープンアクセス)と海賊版

⚫︎著作権は絶対だろうか

 山田奨治『著作権は文化を発展させるのか: 人権と文化コモンズ』(2021.人文書院)という本があります。その帯にこうあります。

著作権のパラダイム転換へ

 複雑になるだけの著作権は本当に文化のためになっているのか? それはユーザーの権利を阻害していないだろうか? 本書はこうした観点から、権利論コモンズ論を基軸に人文社会、自然科学の知見を幅広く援用し、そもそも文化とは何かまで根底的に問い直す。ユーザーの人権という視点から、数百年に及ぶ著作権のパラダイム転換を提案する意欲作。

 「ひとは影響を受けた作品を身体化し、所有している。作品のユーザーにも人権にもとづく権利があるのではないか。「文化」は集団的なものであり私的所有とは相性が悪いのではないか。そういった考えが本書の底流にある。これは論争を呼ぶアイデアだと思う。」

 

 

⚫︎音楽著作権協会(JASRAC)の考え方

JASRACを知っていますか。著作権を守っている団体です。

 たとえば、あなたが飲食店を始めて、店内で音楽を流そうとするとJASRACがやってきて「お金を払え」と言います。でもそのおかげで、音楽家は著作権料をもらって生活することができます。

 

JASRACの考え方

 日本音楽著作権協会(JASRAC)『コピライト』2019.8月号「人に人権 音楽に著作権」をスローガンに掲げるJASRAC............

 .著作権は、著作者の人格権財産権からなる私権であって、憲法で保障された基本的人権であることを踏まえ、コモンロー諸国の功利主義的法理になじむ "copyright" ではなく大陸法諸国の自然権的法理になじむ"author's right"と理解すべきではないかということです」

 

(浅石道夫2019「これまでの10年 これからの10年ーJASRACの来し方行く末」『コピライト』700(2019/8):46-47

[問題1] このJASRACの考えをどう思いますか。

ア.  賛成

イ.  反対

ウ.  どちらとも言えない

 

[問題2] 仮説実験授業の授業書を、地域のかがく倶楽部で使いたいです。著作権料を払うことに

ア.  賛成

イ.  反対

ウ.  どちらとも言えない

 

⚫︎「海賊版」と「オープンアクセス(OA)」の歴史

海賊版

1複製技術 グーテンベルグの活版印刷術→海賊版

2頒布技術 海上輸送、陸上の馬車輸送網

    (日本)江戸幕府が馬車の禁止→江戸と上方でそれぞれ出版文化→それぞれで海賊版

    (現在)  iPhone(2007)個人がコピーデバイスを持ち歩く →ユーザー参加型の海賊版

2役割と論理

(1)文化伝搬

 イングランドのアン法(1709)、 スコットランドの海賊版

 日本 1200末-1300年代 京都五山版の禅籍←中国(宗/元)の海賊版

(2)市場創生

 東・東南アジアのマンガ・アニメ

(3)啓蒙

 1700年代イギリスの啓蒙思想、スコットランドで727-94

 福沢諭吉『西洋事情』、京都で黒田の「海賊版」

 

(4)1727-94 ドナルドソン(エジンバラの出版者) vs ベケット(本の権利者)の裁判

  ドナルドソンが、ロンドンでコピーライトの切れた本のリプリントを安く売りさばいた。

  ベケットは「慣習法でコピーライトは永久の権利だ」

 

もしこの世界に人類に共有されるべきものがあるとするなら、科学と学問こそが共有のものであり、それらは空気や水のように自由で普遍的であるべきだ。科学と学問は、高貴な才能と莫大な利益を独占しようとする輩とともに、それを生み出したものをも忘れ去る。(1774年2月22日、「ドナルドソン対ベケット裁判」での元大法官・カムデン卿のスピーチ(The Cases 1774)

 

 

OA(オープンアクセス)

 OA運動の思想的なルーツの1つは、ポパーの「開かれた社会」

 1979ジョージ・ソロス(投機家、ポパーの生徒)が「オープンソサエティ財団」

  1984.ブタペスト(共産党支配)で400台のゼロックスを寄付→ハンガリーの民主化運動を支えた

  2001.ブラペストでOA関係者集まる。→OA運動の基礎

 

 (CCライセンス、クリエイティブ・コモンズ) コンピュターのGNUライセンスの応用

1「表示=BY」

2「非営利=NC」

3「改変禁止=ND」

4「継承=SA(派生作品をもとのライセンスで公開)

 

5「作品を無条件で公開=CC0」

PD(パブリックドメイン)とは違う。知的財産権が存在しない、だれでも使える、「切れている」

 

「所有権」とは「使用」「用益」「処分」の3つ

OAの例(無料→GREEN、有料→GOLD)

 国会図書館 ▶️

 名古屋市図書館 ▶️

 アマゾン

    google books ▶️

 

 

第二章 障害者アートをめぐって

第三章 ユーザーの人権

第四章 作品が身体化する

第II部 「文化」とは何か

第五章 「文化」概念の変遷

第六章 日本の「文化」概念の現在地

第III部 文化のコモンズへ

第七章 文化コモンズを考える

「土地所有のあり方」

第八章 「海賊版」からオープンアクセスへ

海賊版

1

(1)狭義

(2)広義

 国会図書館が「著作権の切れた本をネット公開(OA化)」、ある出版社が「デジタル海賊版」と抗議

(法律ではなく道義を問題にする)

 

海賊版

1複製技術 グーテンベルグの活版印刷術→海賊版

2頒布技術 海上輸送、陸上の馬車輸送網

    (日本)江戸幕府が馬車の禁止→江戸と上方でそれぞれ出版文化→それぞれで海賊版

    (現在)  iPhone(2007)個人がコピーデバイスを持ち歩く →ユーザー参加型の海賊版

2役割と論理

(1)文化伝搬

 イングランドのアン法(1709)、 スコットランドの海賊版

 日本 1200末-1300年代 京都五山版の禅籍←中国(宗/元)の海賊版

(2)市場創生

 東・東南アジアのマンガ・アニメ

(3)啓蒙

 1700年代イギリスの啓蒙思想、スコットランドで727-94

 福沢諭吉『西洋事情』、京都で黒田の「海賊版」

 

(4)1727-94 ドナルドソン(エジンバラの出版者) vs ベケット(本の権利者)の裁判

  ドナルドソンが、ロンドンでコピーライトの切れた本のリプリントを安く売りさばいた。

  ベケットは「慣習法でコピーライトは永久の権利だ」

もしこの世界に人類に共有されるべきものがあるとするなら、科学と学問こそが共有のものであり、それらは空気や水のように自由で普遍的であるべきだ。科学と学問は、高貴な才能と莫大な利益を独占しようとする輩とともに、それを生み出したものをも忘れ去る。(1774年2月22日、「ドナルドソン対ベケット裁判」での元大法官・カムデン卿のスピーチ(The Cases 1774)

 

OA(オープンアクセス)

 OA運動の思想的なルーツの1つは、ポパーの「開かれた社会」

 1979ジョージ・ソロス(投機家、ポパーの生徒)が「オープンソサエティ財団」

  1984.ブタペスト(共産党支配)で400台のゼロックスを寄付→ハンガリーの民主化運動を支えた

  2001.ブラペストでOA関係者集まる。→OA運動の基礎

 

 (CCライセンス、クリエイティブ・コモンズ) コンピュターのGNUライセンスの応用

1「表示=BY」

2「非営利=NC」

3「改変禁止=ND」

4「継承=SA(派生作品をもとのライセンスで公開)

 

5「作品を無条件で公開=CC0」

PD(パブリックドメイン)とは違う。知的財産権が存在しない、だれでも使える、「切れている」

 

「所有権」とは「使用」「用益」「処分」の3つ

 

第九章 「文化の発展」のために