●肥満になる仕組みは、かんたん
肥満になるわけは、基本的にはかんたんです。
右図のように、血中に糖分が流れると、インシュリンが調整します。インシュリンが働いて、糖分を脂肪細胞に取り込むのです。
ですから、肥満を避けたいなら、急激に糖分の血中濃度をあげないことです。
つまり、まず「野菜」や「豆腐」などを食べ、ご飯などは「やけ食い」しないことです。
「脂肪分」の取りすぎも肥満の原因になります。「肉」にはタンパク質が多く含まれますが「脂肪がもれなくついてくる」のがふつうなので気をつけましょう。
脂肪は、小腸で分解され(脂肪酸とグリセリン)て、血液やリンパ液で運ばれて、脂肪細胞で再び脂肪となったり、血液中の中性脂肪となったりします。
(ただし、以上は単純に書いたのですが、実際には、人によって複合的な原因が存在することがあります)
●ゆっくり食べると「レプチン」が出て、満腹になる
満腹になるのはなぜでしょう。また「なかなか満腹にならない」という人はどうしたらいいでしょう。
実は、食後に、脂肪細胞からは、満腹メッセージが出てきます。それは「レプチン」(タンパク質)で、血液を通って脳まで到達すると食欲が抑えられるのです。ただ、それが脳まで届くには15分間ほどかかります。ですから、ゆっくり食べないと、満腹にならないのです。
丸山優二『臓器たちは語り合う』(NHK出版新書2019)P.69より
ただ、肥満の人は、レプチンが大量に出てくる状況が続いて、満腹を抑える働きが弱くなっています。肥満の人が、いくらでも食べても満腹にならないのはそのせいです。
[実験]
今から、昼ごはんを15分間かけて食べたら、満腹になるでしょうか。
ア. 満腹になる イ. ならないウ. 場合・量による
[実験]
野菜サラダとバナナゼリーを食べました。たしかに15分後に、空腹感は消えました。でも満腹感はありません。満足感はあります。
●肥満になると、病気になる?
レプチンによる食欲抑制が効かなくなって肥満になると、体に悪い影響が出てきます。メタボリックシンドロームです。
実は「メタボリックシンドロームの本質は、脂肪細胞の出すメッセージ物質にある」(丸山2019,p.74)のです。
脂肪細胞は、いくつかのメッセージ物質(炎症性サイトカイン)を出し、免疫細胞たちに「敵が来たぞ」というメッセージを伝えます。そして免疫細胞は、体の各所で敵がいないのに攻撃を始め、体を痛めます。「慢性炎症」です。
たとえばマクロファージは、メッセージを受けると、血液中のコレステロールを敵と判断して貪食します。最後は、自爆して血栓になります。
他にも「動脈硬化、糖尿病、高血圧や、がん、認知症までも、慢性炎症が深く関わっていることが明らかになってきている」(丸山p.77)ということです。
●脂肪細胞は、なぜ「慢性炎症」を引き起こしてしまうのか
なぜ肥満細胞は、勘違いして炎症性サイトカインを出すのか。その勘違いについて、丸山(2019.p.78)は、「いくつかの可能性がある」と言っています。
1つは[脂肪酸]です。「肥満した脂肪細胞自身からしみ出した[脂肪酸]が、細菌などを感知する受容体を刺激する」からです。
もう1つは[腸内細菌の死骸]です。「肥満の人が高脂肪の食生活を続けていると、腸内細菌の環境が悪化して、悪玉菌が増えてきます。そんな細菌の死骸が血液中に入り込んでくる」からです。
●健康のカギは、運動
「慢性疾患が心配」という人はどうしたらいいでしょう。
前述べの著者である丸山優二さんは、
「健康のカギ......筋肉が出すメーセージ物質」
と書いています。
筋肉が出す「IL6(インターロイキン6)」が、免疫細胞の活性化を抑制するというのです。また、マイオカインは、大腸に働きかけてガンを防ぎます。
●Mさんへ、結論
人はそれぞれ体の状況は違うのですから、健康法もそれぞれです。世の中には「耳にタコができる」ほどの情報が飛び交っています。
その中で、私は、昼ごはんは炭水化物をほとんど食べません。好きなのは、ゼリー類です。こんにゃくゼリーだけでなく、バナナ、リンゴなど各種のゼリーを食べ比べています。
「最初に野菜サラダを食べる」もよくやっています。アマチュアランナーの上村さんの真似です。好きなのはイオンの「18品目のバランスサラダ」190円です。上村さんは「サラダとサラダチキン」だそうですが、私は、チキンの代わりに「とうふバー」をたまに食べます。
ということで、Mさん流の方法で「成功を祈る」です。