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あなたの細胞たち37兆個の物語(3)神経

⚫︎あなたの体の神経細胞は3.1兆個

 あなたの身体の神経細胞は、長いもので1mもあります。たとえば足の筋肉を動かすときは、背中から足の先まで情報を電気で伝えて、先端のシナプスがメッセージ物質を放出します。

 それでは、脳の中はどうでしょう。

[問題1]

ア.  脳の中は神経細胞が直接つながって電気信号を送っている。

イ.  脳の中もシナプスがメッセージ物質を放出している。


⚫︎脳の中には、1000億の神経細胞と3兆個のグリア細胞

 脳の中でも、神経細胞が働いています。実はその30倍のグリア細胞があり、神経細胞をつつんでいます。

 脳の神経細胞も、身体の細胞と同様に、ニューロンでメッセージ物質が放出され電気信号が情報を伝達します。その伝達のスピードは、毎秒120m(時速400km)です。

[問題2]  神経は、他の生物にもあるでしょうか。

(1)植物には神経が     (2)昆虫など無脊椎動物には神経が

ア.  ある          ア.  ある

イ.  ない          イ.  ない

https://www.biophys.jp/highschool/A-08.html


 植物には神経はありません。

 バッタなどの無脊椎動物には神経があります。

和田勝「生命科学C」より https://www.tmd.ac.jp/artsci/biol/textlife/neuron.htm


⚫︎体内の神経には3種類ある

神経の種類

 目、耳、鼻、舌、皮膚から脳へ→感覚神経(1)

 脳から筋肉へ        →運動神経(2)

 胃、腸、心臓などを活発に  →交換神経(3)

 胃、腸、心臓などを安定させる→副交換神経(4)

[問題3]

 次の悩みは、上のどの神経が関係しているでしょう。(複数可)

神経痛(たとえば椎間板ヘルニア)(     ) 

神経質(ナーバスになる)(       )


⚫︎神経痛の例: 背中が痛い(椎間板ヘルニア) 

 脊髄には神経が通っています。椎間板ヘルニアは、脊髄が損傷して「神経」に当たっているのです。まず「感覚神経」に当たって、痛みが脳に伝わります。ひどくなって「運動神経」にあたるようになると、運動障害といって手足のどこかが動きにくくなります。

 このように「痛み」といったら「感覚神経」です。

⚫︎神経質(ナーバスになる)

 「がんばるぞ」と思うと、交換神経が働きます。がんばりすぎたり、心配しすぎたりするときも交換神経が働きます。体の各臓器が活発に動きます。それが原因で「頭痛」「ストレス」「睡眠不足」「息切れ」「食欲不振」になったりします。治すには、リラックスして副交感神経が働かせることです。

⚫︎頭がよくなるには

「どうしたら頭がよくなるか」は、残念ながらわかりません。

 ただ、「どうすれば記憶力を高められるか」は、脳科学の「記憶の仕組み」の研究でわかっています。

池谷裕二さんは「人はどうやって記憶するか」について、以下のように言っています。池谷裕二、糸井重里『海馬 脳は疲れない』(2002,朝日出版社 p.28)

⚫︎人はどうやって記憶するか

(右図のように)目から捉えたイメージは、電気信号となり脳内の海馬と呼ばれる小さな組織に送られる。そこで、さらに電気信号が神経細胞をリレーして1つのルートを作る。その異なるルート1つずつが記憶となる。

 つまり、すべての事象の記憶は「海馬」の中で作られ、その後、大脳皮質に送られて長期記憶となる。

⚫︎「楽しい」とよく記憶できる(上述書p.28)

 脳の中で「好き嫌い」を扱うのは「扁桃体」です。その隣に「海馬」があります。

その2つは、呼応し合います。

 だから「好きなことなら、よく覚えている」「興味あることはうまくやってのける」のです。「道を歩く」でも、知らないところを迷いながら歩くと、楽しくて驚きがあります。それは脳が働いている証拠です。

   歩くと脳が働く気がするのはなぜでしょうか。哲学の小道を毎朝歩くと、発想が豊かになるというのは本当でしょうか。

 

⚫︎⚫︎頭のいい人って、自分の好きな人かも(上述書p.26)

 

手を動かすことが重要。そのまま丸暗記せず、自分の手で描く。描きながら連想を膨らませる。「経験してわかる」

   「ホムンクルス」→脳内の司る場所を擬人化した。

指をたくさん使う →脳の神経細胞がさかんに働く。

たくさんしゃべる →脳の神経細胞がさかんに働く。

 一流と言われる人は、実は案外おしゃべり(p.32)

⚫︎「頭が悪い」とはp.35

  能への入力がない人は、はたらきが悪い。

  「頭が真っ白になる」←入力も出力もできない

      社会と交流できなくなると、能力を発揮できない。

⚫︎海馬は増える

何歳になっても海馬の神経細胞は増えている(p.150)

「年をとったからもの忘れをする」は、科学的に間違い。(認知症のような病気をのぞけば)

  海馬は使っていると増える。使っていないとしぼむ。

  丸暗記するなら、「楽しい」と思わせる。

  隣の「扁桃体」は感情を司る(楽しい,好き,きらい)

        →扁桃体が活性化すると、海馬も活性化する

「海馬は増える」「頭がよくなる」

 

⚫︎脳は毎日が面白いかどうかに反応(p.154)

 海馬は記憶をつくるだけのところであって、保存しておくところではない。入れ替わる。

  「海馬が記憶を製造するきっかけになるのは?」

海馬は「扁桃体」を参照しながら、情報を取捨選択する。

     →たのしい、かなしい

遊ぶの多い環境で育てた方が、海馬が大きくなる。

新鮮な刺激にさらされていると、海馬の細胞が増える。

・脳に逆らうことがクリエイティブ

・「これが他人の悩みだったら...」が、悩みを解決するコツ