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あなたの「細胞」たち37兆個の物語(2)筋肉細胞

⚫︎あなたの筋肉細胞、3000億個、重さは体重の1/3

 筋肉細胞には3種類あります。ふつう「筋肉」というと「骨格筋」です。それ以外に2種類(「心臓の筋肉」「内臓の筋肉」)があります。

 筋肉細胞は、1つ1つの細胞がくっついてゴムひものような繊維のかたまりになっています。

『がん情報サービス』「横紋筋肉腫」よりhttps://ganjoho.jp/public/cancer/rhabdomyosarcoma/print.html


⚫︎運動すると、筋肉モリモリになる。どうして?

[問題1]

 筋トレすると、筋肉モリモリになります。でも筋肉細胞は、くっついています。どうやってモリモリになるのでしょう。

ア.  筋肉細胞の数が増える

イ.  筋肉細胞がふくらむ

ウ.  他の細胞が助ける

 

筋肉細胞のキャラクター


(モリモリになる仕組み)

 筋トレをすると筋肉細胞の一部が破損します。休息を取っているとサテライト細胞(衛生のような細胞)が修復作業を始めます。

 それが終わると、筋肉が太くなってモリモリになるのです。


 ですから、もし筋肉量を増やしたいと思ったら、筋肉細胞を少し壊すぐらいのつもりで筋トレをやることが必要です。そして休養している間に修復が進み、筋肉量が増えるのです。

 年を取ると、サテライト細胞の機能が低下してしまい、「サルコペニア(筋肉量低下)」になって、歩けなくなる人も出てきます。運動不足に気をつけましょう。

[問題2]

 物理学で「仕事=力×距離」です。

木にぶらさがるリンゴは、仕事は「0」です。

手に持ったリンゴは? 

疲れるということは仕事をしているのでは?

 手でリンゴを持つと

ア.  仕事をしていない

イ.  仕事をしている

 


 筋肉は、2つの繊維がピストンのように出たり入ったりして力を出しています。

 リンゴを持っているときも、筋肉は動いているのです。「ブルブルふるえている」といってもいいかもしれません。

 仕事=力×距離ですが、距離は0ではありません。仕事をしているので疲れるのです。

『東京大学大学院理学系研究科・理学部』「筋肉のタンパク質、ミオシンの協同的な力発生を発見」より

https://www.s.u-tokyo.ac.jp/ja/press/2017/5449/


⚫︎シルバー世代の筋肉不足「サルコペニア」

[問題3]

 現在(2018年)、シルバー世代(75才以上) で「車いすトイレ」を必要としている人はどのくらいいるでしょう。

 ア. 5%

 イ. 10%

 ウ. 15%

 国土交通省の数値を見てみることにします。総合制作局安心生活政策課(令和2 : 2020年10月「車椅子使用者用便房等の利用者に関する統計データの整理」より 


 右のグラフは「車いすトイレ」の利用対象者数の割合を表しています。

 それを必要としている75才以上の人は14.7%です。

「車いすトイレ」が必要になってしまったのでしょう。

 次のグラフを見てください。


  これはシルバー世代の「歩くスピード」と「生存率」との相関関係を表したものです。

「ふつうに歩ける人(5km/時以上)は長生きだ」と言うのです。

 そういえば、私たちの周りを見ていても、山歩きを趣味にしている人は、80才をすぎても元気です。

 逆に、歩くのが遅い人の「生存率」は1/2ほど低くなります。どうしてでしょう。それは体の筋肉が関係します。


⚫︎「サルコペニア=筋肉量の低下」と健康

 筋肉の量は、年齢とともに減少します(サルコペニアといいます)。それは2つです。

1 運動(1日、1万歩)

2 タンパク質(1日, 60g)

 

「75才以上の人のほぼ3人に1人は、要介護認定者」の時代 (日本整形外科学会⏩)です。いつまでも健康を維持するには「筋肉」のことを考えることが必須です。

「年齢と筋力・筋量」『健康長寿ネット』⏩