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「何をするにも仮説実験」はいつだれが言い始めたか

 

「何をするにも仮説実験」は、いつだれが言ったのでしょう。書いたのでしょう。

「板倉さんに決まっている」ようにも思えますが、私は最初に竹内三郎さんから聞いたようにも思えます。文献の中から、その言葉を探してみました。

 

⚫︎1992年『発想法かるた』

1992年

『発想法かるた』

仮説社,出版

 

 

 

板倉聖宣『発想法かるた』(仮説社,1992)に、こうあります。

 

「予想をたてると見えてみる」P.59

⚫︎出だしの論理●

...どんなことをするときにも、予想を立ててからやると、失敗してもなぜ失敗したのかわかって、早く成功することができるようになるのです。これは「何もするにも仮説実験」とも言えます。

 


⚫︎1987年『たのしい授業』5月号

1987年

『たのしい授業』

5月号

 

1986.12月号、編集委員会「<発想法かるた>のすすめ」が掲載され、「弁証法かるたから発想法かるたへ」

 

「解説・イラストを書いてください」と。小学生にも使えるような、広い一般性をもったものに。

 

板倉聖宣「発想法カルタ」『たのしい授業』1987年5月号

 

「何をするにも仮説実験」

 このことわざは仮説実験授業を経験している子どもたちにはすぐにわかるでしょうが、一般の子どもたちに知らせるのは困難かも知れません。そういう子どもたちには、「どんなことをするときにも、予想を立ててからやると、失敗しても〈なぜ失敗したのかが分かって早く成功することができるようになる〉ということだ」といった説明をする程度に止め、いつか仮説実験授業をする機会を作ってやるといいと思います。分かる前には仮説と予想の区別など教えることは困難ではないでしょう。

 


              竹内三郎さんが「弁証法かるた」で、似たような1文を作っています。

⚫︎1981 『ものの見方考え方1』(季節社)に載っていた

1981年

『ものの見方考え方』第1集(季節社)

竹内三郎「弁証法かるたの試み」

 勝とうと思ったら仮説・実験

                 ー仮説・実験の論理

         口先だけで勝っても心細いものだ。

 

  ↑「仮説・実験の論理」とあります。

 


              ↓竹内さんの1文は、大元はこちらです。

⚫︎1977.正月 「弁証法かるた」仮説社謹製、限定1組

1977正月

『仮説実験授業研究会ニュース』

竹内三郎

 勝とうと思ったら仮説・実験

                 ー仮説・実験の論理

 

伊藤篤子さんが出していた「仮説実験授業研究会ニュース」の載っていたような気がして、調べてみると、ありました。(『仮説実験授業研究会初期ニュース集成 上巻』2011年7月より)

 


             ↓「弁証法かるた」は板倉の考えが発展したもの

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 「何をするのも仮説実験」は、だれがいつ言ったか。いつかそのことが問題になるかもしれないと思い、ここに掲げておきます。結論は「板倉聖宣が、もともと文章にしていたものを、1980年頃、ことわざ(かるた)化した」ということでしょう。

 

 さらに「仮説・実験の論理」「仮説実験的認識論」という言葉の最初が気になり始めました。

 

⚫︎1972年.11月 ことわざ的、弁証法。「ものは問わなければ認識できない」

1972年11月

 弁証法の法則というのはことわざ的だ。p.300

 ものは問わなけなれば認識できない  ー実践的認識の論理 p.290

 

板倉聖宣講演「板倉的偏向弁証法入門ー私における自然弁証法研究の現段階」1972年11月6日、早稲田大学理工学部祭にて

      板倉聖宣『科学と教育のために 講演集』季節社1979に掲載