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1分で読むダーウィン『種の起源』

⚫︎『種の起源』を1分で読む

ダーウィン著『種の起源』の内容

  夏目大訳『超訳 種の起源』(技術評論社2012)より作成  井藤伸比古編 2021.5.6

 

⚫︎[第1章 人為選択] 5つの問題を提示する。

[問題1] なぜ、飼育栽培されている動植物は多様性に富むものになるのか。

    →(答え)人為選択によって多様性が生まれる。

[問題2]同じ親から生まれた子供に少しずつ違いが生じるのは何か。

→(仮説)野生のときより、多様な環境に置かれているからではないか。

         ↓

[問題3]もし、環境が本当に生物を変化させるのだとしたら、それはなぜか。

→(仮説)ア. 生殖機能の撹乱(突然変異のこと)

           イ, 変化の相関が多様性を増す。例「青い目の猫、耳が聞こえない」

           ウ. 用不用説(ラマルク)

         変化の起きる本当の理由は謎

 

[問題4]飼育鳩の原種はどんな鳥だったのか。原種は複数か、1つか。

          →(答え)かわら鳩、ただ1種だと信じている。

 

[問題0] (私が真に追求したいのは)

           なぜ、この地球上にこれほど多様な生物がいるのか。

→(仮説)ア「たった1種の原種から,多数の品種が生まれた」

           イ「創造主が生物種を作り固定化されている」

 

⚫︎第2章 「種」とは何か。前提としてそれを論じる。

(井藤の疑問?)この「種の概念」はダーウィン自身による? 先行論文があるのか?

 

⚫︎第3章、第4章 生存競争と自然選択

 この2つにより進化が起こる。それがダーウィンの説の中心。

⚫︎第5章 生物変化の法則

 そもそも個体差が生じるのはなぜか。

      →今のところ、全くわかっていない。

⚫︎第6章、第7章、第8章、第9章 学説の抱える5つの問題を解く

5つの問題を「自然選択」で説明できるか。

 「第6章」中間段階の生物が見つからない理由

    「目」などの複雑な構造の誕生は生存競争で説明できるか(✖️神が創造した)

 「第7章」「本能」をどう説明するか

     自然選択によって説明できる(✖️神が意図的に創造した)

 「第8章」種間の交雑と変種間の交雑の違いをどう説明するか

     自然選択によって説明できる(✖️神が意図的に創造した)

 「第9章」なぜ化石が足りないのか

     過去に存在した生物の大半を私たちは知りえない。

     地球の歴史の長さ→3億年? 生物の多様性には十分の時間があった 

⚫︎第10章、第11章、 第12章、第13章 生物の多様性の状況

 「第10章」生物の連続性

   化石を調べていくと、生物は世界中でほぼ同時に変化している。

     →自然選択によって説明できる。

 「第11章」「第12章」生物の分布

   いくつかの生物は、遠く離れた複数に地域に同時に存在する。 

     →移動で説明できる。

 「第13章」生物の分類

   自然選択説が正しいなら、あらゆる生物の共通の祖先は同じ、ということになる。

 

⚫︎第14章 結論は3つ

・すべての生物は、1種類の生物の子孫である。

・長い時間をかけてさまざまに変化することで、多種多様な生物が生まれた。

・生物は「自然選択」の作用によって変化する。

  ✖️すべての生物は神が創造した。

  ✖️どの生物も歴史の最初から全く変化していない。

◎この3つの法則をこの世に課したのが神なら、生物が従わないのはおかしい。

◎複雑で精巧な生物の世界が、神のような特別な存在抜きで作られた。

    不思議な感覚を覚える。

◎この本で書いたことが今後、広く受け入れられたなら、学問に革命的変化が起こる。

 

⚫︎いかがでしたか。(井藤追記)

 『種の起源』の展開は次にようになっています。

1「問題」提示

2「仮説」提示、特に2つの仮説(「神による」「自然選択による」)

3 仮説の検証

 発表当時は、すぐに広く認められたというわけではありませんでした。その後、メンデルが「遺伝の基本的な仕組み」を解き明かし、「遺伝子」「染色体」「DNA」が発見され、突然変異のりくつも解明され、「ダーウィンの仮説」の正しさが少しずつ証明されていきました。

 しかしなお、「ダーウィンの進化論」に反対する人が世界にはいます。それほど、大きい理論だったのです。