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「色即是空 空即是色」と原子論

●ルクレティウスの本と「色即是空」「空即是色」

 ルクレティウス『事物の本性について』を読んでいて、こんな言葉に出会った。

 

まず第一に「無からはなにも生まれない」これを知る必要がある。(板倉版p.25)

 

これは「空即是色」という言葉に似ています。

 

物質の粒子というものはおよそどのような色にせよ、その事物に似ている色も似ていない色も、全くもっていないのだから。(2巻738,全集版)

 

つまり「色」は「物」ではない、というのです。これは「色即是空」に似ています。

 さらに2巻では、

色だけでなく、音、香り、味、温かさ、冷たさも物ではないと論じています。

 

 

(●注)

ルクレティウスの和訳には主に3種類ある

a「物事の本性についてー宇宙編」(岩田儀一、藤沢令夫訳) 世界古典文学全集版1965(*全集版)

b板倉他編国分一太郎訳『少年少女科学名著全集4』ルクレチウス「宇宙をつくるものアトム」国土社1965(*板倉版

c樋口勝彦訳『物の本質について』岩波文庫1961(*岩波版)