⚫︎スタンダードな健康の本が欲しい
世の中に「健康」に関する情報は数えきれないほどある。「健康には○○がいい」「このサプリを飲め」など,朝から晩まで「耳にたこができる」ように情報が飛び交う。誇大宣伝・疑似科学の洪水である。
また「肉か/魚か」そういわれても家庭の事情があって,なかなか実行できない。
そんな数多な情報の中から「これこそ確かだ」と思えるものはないだろうか。
そう思っているときに,Topolの本の出版を知った。Topolは統計的な裏付け(1400人の長寿者データ,1800件の引用)をもとに,スタンダードのこと(憶測を含まない) だけを書いている。
Eric Topol『Super Agers』Random House UK Ltd (2025/9/18)
似たような本はいくつかあって,シンクレア(2020)は,アメリカでベストセラーだった。
1 シンクレア『老いなき世界(Life Span)』東洋経済新報社2020,原著2019)
2バルジライ『CEメディアハウス2021,原著2020)
1も2も著者は,長寿遺伝子の研究者(分子生物学的)で,臨床的な内容中心である。しかしTopolは,1400人の長寿者のデータ(臨床だけでなく日常生活も)をもとに,AIも駆使して,統計的に過去,現在だけでなく,未来予想もしている。
Topol『Super Agers』は,今のところ邦訳はない。英語版を翻訳しつつ,AIを使い,CNNの著者へのインタビュー(2025.7.11,『CNN English Express』10月号掲載)をもとに,概略を紹介する。
Part I: 健康寿命の時代
1. 2人の患者の物語
[問題1]
Topolが担当した2人の98歳の患者を対比して紹介している。ひとりは病気はほとんどなく活発に暮らす「超高齢者」、もうひとりは大きな心血管手術・治療を繰り返しながら生き延びている高齢者。あなたならどちらを選択するか?
ア. A イ. B ウ. その他
「健康寿命」という言葉がある。それは「日常生活を健康で制限なく生活できる期間」のことである。アメリカでは,どうだろうか。
[問題2]
現在、[ ]才以上のアメリカ人の95%が少なくとも1つの慢性疾患を抱えている。
ア. 60才 イ. 65才 ウ. 70才 エ. 75才
もう1つTopolは「アメリカでは高額所得者の方が長寿」と言っている。
日本では,それは75才くらいです。
アメリカでは,60才。
[問題3]
どうして,アメリカは日本に比べて15才も若いのだろうか。
それは (1)肥満 (2)車社会なので歩かない (3)保険制度の違い
2. 遺伝の話
[問題4]
長寿がしたいと思っても,遺伝的要因がありそうだ。それでは,トポルは「寿命における遺伝的要因」は,どのくらいだと言っているか。
ア. 25% イ. 50% ウ. 75%
トポルの「スーパーエイジャー」に関する研究と一般的な科学的コンセンサスによれば、遺伝的要素が個人の寿命に占める割合は比較的小さく、約 25% と推定されている。「Wellderly」コホート(主要な慢性疾患のない80歳以上の人々)を対象とした研究では、彼のチームは、年齢や健康状態に有利となるような特定の遺伝的差異は全般的にほとんど見つからなかったと結論付けている。
寿命の差の大部分は、食事、運動、睡眠、社会との関わりといった環境要因とライフスタイルの選択に起因している。
トポルは、遺伝子は選べないものの、健康寿命(健康に過ごせる年数)に大きな影響を与えるライフスタイルと環境要因はコントロールできると強調している。
3. Lifestyle➕
長生きの要因として何があるか。従来は「食事」「運動」「睡眠」それに加えて??
[問題5]
トポルはそれ以外に,何が大切だと言っているか。
「食事・運動・睡眠」だけでなく、環境(大気・化学物質)、社会的要因(孤独・社会的つながり)、睡眠・自然・筋力・活動の詳細,加工食品・超加工食品(ultra-processed foods = UPF)の消費、体重・肥満・活動量・睡眠質・社会的孤立・屋外活動など。
→まとめると,「炎症性老化」「免疫老化」を防いで,加齢による疾患を予防する。z
Part II 「Chronic Killers」(慢性的な殺人者)......疾病どうする?
ここでは,病気について,具体的な状況と対策が書かれている。
1. 肥満と糖尿病
見た目や数値の問題ではない。(井→BMP24くらいが長生き)
2. 新血管疾患(世界的には死因のNo.1)「心血管病は防げる/遅らせられる疾患である。“炎症性老化(inflammaging)”が心血管疾患の根本。炎症マーカー・AI読影・遺伝的リスクスコアなど)
3. がん「年を取ったらどうしようもない」という常識は覆される」がんは「加齢の最大の副産物」
/血液バイオマーカー・細胞外DNA・AIによるリスク予測・個別化治療(免疫療法・がんワクチン・CAR-Tなど)
4.神経変性(アルツハイマーなど)「アミロイド仮説」「タウ仮説」は気にしなくていい。早期バイオマーカー(p-tau217)の利用で発症20年以上前に、アルツハイマーリスクを予測できる。
Part III 「Great Implications」大きな示唆,その他の疾患
自己免疫疾患,感染症など,生理学的に老化をどうしていくか。
Part IV 「Thinking Ahead」未来はどうなる
1. 科学は「老化」を変える
自己老化を「避けられないプロセス」から「変えうるプロセス」へと転換する可能性を検討。細胞老化・エピジェネティックな老化時計・クライオ療法・若返り研究など、加齢生物学の最前線が紹介。
[問題5]
アメリカでは,富裕層の方が長寿が多い。なぜか?
2. 「The Path Forward」今後の道のり,あなたはどうする?
・老化はコントロールできる。科学と生活を組み合わせれば、人はもっと長く、元気に生きられる。
・「生活習慣への考え方/ 環境との関わり方」が未来の自分を形づくる。
・健康の維持や予防に,先回りして投資。病気になってから治療に多額の費用をかけるよりも。
・人工知能(AI)なら,膨大な個人データを処理し、「数十年前に」発症リスクを予測・検知できる。
(私の思ったこと)
・1人のかかりつけの医者に頼りすぎない。医者によって言うことが違うのはもちろん,体調は自分自身で判断するのが基本。
・けっきょく何をするのも「仮説/実験」。自分で仮説を立て,友人と議論しながら実行する。そして予想変更していく(死んでからでは遅いので)。
・自分自身の選択が、未来の自分と、大切な人への「思いやり」なのではないか。
